3/22/2009

" 東京の花売娘 "

歌:岡 晴夫 作詞:佐々詩生 
作曲:上原げんと 昭和21年6月発売





当時流行ったブギの体裁をとってはいるが、消して"快活"でも"元気一杯"でもない。"どこか淋しい愁いを含む…"という歌詞の通り、ほのかな哀愁さえ感じさせる曲だ。

この曲のヒットによって当時銀座の辻々には花売りの娘たちが一気に増え、一時は200人を越えていたとも聞く。彼女たちは何処へ行ってしまったのだろう。。






東京の花賣娘
http://www.youtube.com/user/anayoru



この曲が生まれた昭和21年は昭和天皇による「人間宣言」で幕を開け、
マッカーサー元帥によって極東国際軍事裁判所が設置され、日本国憲法が公布された年である。 それまでの様々な価値観が次々と揺らぎ、ひっくり返され、貧困や混乱を極めたであろう時期にも拘らず「生きる」という大命題に突き動かされ復興の道を歩んだ人々。 彼らの辿った道のりを想う時、彼らの軌跡へと向かう関心のベクトルはいつしか現在へと戻り、今日の我々の有り様や行く道を煌々と照らし続けている事に気付かされる。

『東京の花売娘』は音楽を廃した映画 "麻雀放浪記(原作:阿佐田哲也)" で唯一オープニングに流される曲だ(上記画像は7インチ版ジャケット)。舞台は焦土と化した街並に出現した巨大な闇市とドヤ。登場人物たちは様々な境遇に翻弄されながらも「己の生き方」を自らの手で定め、「己の力」を自らに証明するべく命を燃やし激闘を尽くす。彼、彼女等の図太い生き様・死に様は、どこまでも力強く、尊い。

さて、現代の花売娘は・・・・
実は今でも花椿通りと並木通りが交差する辺りを夜遅くフラつくと、黒服の男たちに紛れて花売娘たちに逢うことが出来る。流石に当時からの花売りは居る筈も無いが、 皆さん人生経験が豊富そうな佇まいだ。いつか彼女たちから花を求め話を聞いてみたい、と思ったりする。