“ 太陽は良い人
そうでない人の区別なく頭上を照らし
雨は正しい人
又そうでない人にも等しく恵みを与える ”
マタイ伝5章45節より
【人間の証明】
大正叙情の児童詩に追憶への旅を誘われ回想される過去。
~GHQ・進駐軍の占領(1945~1952)~
時代の風に翻弄される人々。
“ストーハ”で通じる世代には懐かしくもある
戦後日本の負の遺産を描いた愛憎劇。
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【ぼくの帽子】
『 母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ 』
西條八十
西條八十が大正時代に発表した児童向けの原詩は
元々は叙情的な追憶が表現されていた。
【主題歌Proof of The Man】
占領下の混乱により生き別れてしまった
母への思慕や喪失の想いを付け足していくことで
映画テーマに相応しいバラッド(譚詩曲)が生まれた。
ジョー山中、1946年生まれ。
帽子に投影されたのは自身の姿であり
失った絆なのだろうか…
山の断崖で独り谷底を見下ろすように
声量いっぱいに高域を振り絞るように歌われる。
【国境を越えて】
映画『人間の証明』は1980年代の中国でも
『人証』のタイトルで公開され
一千万人以上が観たといわれる。
尚、ジョー山中が歌う主題歌は『草帽歌』の名で親しまれてる。
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【ボクシングに生甲斐を求めた男】
カシアス内藤、1949神戸生まれ。
山中と同じ境遇で褐色の肌を持ったボクサー。
無敗のまま元日本ミドル級&東洋太平洋ミドル級チャンピオンに。
世界を嘱望されるも一時表舞台から姿を消す。
沢木耕太郎の著作による
スポーツ・ドキュメンタリーの傑作「一瞬の夏」に、
ブランク後の1979年の王座再挑戦の様子が描かれている。必見