10/25/2009

" Adios Nonino "



" Adios Nonino "

LIVE AT THE MONTREAL JAZZ FESTIVAL
Astor piazzolla y su quinteto


1959年10月彼の父:ビセンテが他界し父に捧げたレクイエムです。



嘘だと思った。

父の視線は病院特有の空気を見つめると言うか、ただ... 。
記憶がバイオリンのメロディと共に過ぎ、

思えば父にこれと言って怒られた記憶 がなく
楽しい思い出しか見つからない。

バンドネオンの自由で力強い即興的な演奏が始まる【カデンツァ】

何回かの季節が経つが父が居ないという実感はない。
食卓のイスも変わらず同じ脚数。
あの時の少年も青年へと変わり少しずつ父と同じ歳に近ずき

「こんな時父と何を 語るのだろう?」と考え…

「ああ、父は其処にはもう居ないのだ。」
そう彼は初めて「父が其処にはもう居ないこと」を実感する。

独奏楽器(息子)とオーケストラ(父親を含む家族)。

家族の支えなしでの息子の自立した人生が始まる。
しかし、「家族の支え」という概念を抜きにして「自立(独奏)」は有得ない。
素晴らしい独奏も、バックのオーケストラの「無伴奏」が無くては成立しない。
この関係は家族の関係にも当てはまるものと思います。


ブエノスアイレスではジャカランダが息子の自立を祝うかの如く、
その濃さを増 していく時期でした。
ジャカランダとは亜熱帯地域に生息する「西洋の桜」と呼ばれる樹木で、
花(赤 紫)が咲くのは初夏の5月からですが、
南半球のブエノスアイレスでは日本とは逆 の10月頃から咲く花です。

息子:ピアソラが彼の父:ビセンテの歳とが逆転した時、彼がどの様な思いで
こ の曲に接し演奏したか?とても興味深いです。