3/28/2010

DESAFINADO

" DESAFINADO "
~異なる美意識の、見事な融合~


GETZ / GILBERTO(1963)
スタン・ゲッツ(ts)ジョアン・ジルベルト(g,vo)アントニオ・カルロス・ジョビン(vo) 他


テナーサックス奏者スタン・ゲッツがボサノヴァの第一人者達を迎え
発表したこのアルバムは、今なお涼やかな洗練さに満ちている。

ディサフィナード(Desafinado)とは"調子外れ"という意味。
不協和音を巧みに使ったメロディーと"歌の上手下手は重要じゃない(大意)"
というフレーズは、"美声で声量のある歌手のみが感情をこめて歌い上げるべし"
という従来の価値観に囚われない、ボサノヴァならではの自由な発想を
表しているかのように感じる。

また 忘れてならないのは職人気質なJ.ジルベルトとクール・ジャズ出身の
S.ゲッツの橋渡し役を担ったジョビンの存在だ。実際、ジルベルトは
最初ゲッツのサックスを全く気に入らず、収録中も確執が絶えなかったとか…

そんな険悪になりがちな空気をなんとかまとめたのはC.ジョビンだと云われているが
本当にそうであるのなら、ジャズとボサノヴァとの異なる美意識の争いを
見事に結晶させた彼は真の功労者と呼べる存在なのかも知れない。