1949年。
ニューヨーク西47丁目のレコード店「ジャズ・レコード・コーナー」のオーナー、
ボブ・ワインストック。彼はいつの日からかレコードを「売る」ことより「製作」
する事に意欲が高まり、遂にはレコード会社を設立する。そう、jazzファンなら
誰でも知っているレーベル「Prestige」です。
彼はある日クラブであるピアニストを紹介され、ピアニストは彼にこう言った、
「もしレコード会社を設立するなら、jazz greatを連れて録音に行くよ」と。
1952年。
その願いが叶い、録音されたアルバム【THELONIOUS MONK TRIO(1954) PRESTIGE 7027】です。
当初録音されたのは10inch(Prestige 142)でしたが1954年に12inch LP化の際、
追加録音されたのが「just a gigolo」です。
彼は当時の事をこう振り返って言っております。
「夢のようだった…小僧だった私がjazz界で彼らと兄弟の様に受け入れてくれたんだ!」
因みに彼のレコード店の向かい側にあったjazz club:ロイアル・ルーストでは彼は
顔パスで出入り出来たそうです。もともとトラディショナルなジャズが好きであった彼が
モダン・ジャズに熱中していったのもこのような要因があったからではないでしょうか。
また自由奔放な性格の彼は、ブルーノート・レコードのアルフレッド・ライオン
とよく比較されたそうですが、どちらも後世に語り継がれるアルバム・ジャズメン
達を育てたという点は大いに評価できるのではないでしょうか?
その後レーベルは1972年にファンタジーグループ(コンコード・ジャズ・グループ)
に吸収され現在も存続し60歳を過ぎ、またレーベルの創立者のボブ・ワインストックが
この世を去って5年が過ぎました。
「just a gigolo」にはもともと歌詞があり、曲中でこう歌っております。
「As life goes on without me.」
去り行く季節に少しちょと心に沁みる1曲です。
3/28/2010
ボブ・ワインストックという男
ボブ・ワインストックという男
ラベル:
text by 【 DJ 】