先日、初老の男性から
「シェルブールの雨傘を」というリクエストを頂いた。
シェルブールの雨傘 Les Parapluies de Cherbourg
監督:Jacques Demy 音楽:Michel Legrand
"シェルブール雨傘店"の娘ジュヌヴィエーヴと自動車整備工のギィとの恋。
やがてジュヌヴィエーヴは身ごもり、ギィはアルジェリア戦争に召集され
引き裂かれてゆく…という内容のミュージカル映画の主題歌だ。
オープニング・シーン動画 @Youtube
またこの映画は少しだけ政治的なメッセージを含んだ映画でもある。
アルジェリア戦争 |
そういった意味もあるにせよ、まあ普通に
梅雨時に因んだリクエストなのだろうと思っていた。
しかし、件の男性は意外な言葉を継いだ。
「アレヴァ社の本社がシェルブールにあるから」
それは流石に知らなかった… その夜、早速調べてみた。
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日本とシェルブールの意外な関係
日本は核燃料の再処理をフランスに頼っている。日本の原発で使われた
核廃棄物は日本の港からフランスのシェルブール港に輸送されている。
それらは仏アレヴァ社の再処理施設にて高レベル放射性廃棄物(ガラス
固化体)へと姿を変え、今度は逆にシェルブール港から輸送船に積み
込まれて日本へ運ばれ続けている。場所は青森県の六ヶ所村。
何と云う事だ。「シェルブールの核燃料」とは…
もう少し調べてみたところ、更にこんな事も判った。
・3月11日の震災以降にも係らずシェルブール港から日本に向けて MOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)が4月上旬に輸送されよう としていたが、自然保護団体の告発により問題視されて急遽延期された。 ・日本の電力各社は、仏アレヴァ社に原発のプルサーマル用にMOX燃料の 加工を依頼しており、これまでに4回フランスから日本へ海上輸送されている。 このうち1999年の第1回目の輸送で運ばれたMOX燃料が 福島第1原発3号機で使用されていた。 ・四国電力は来月10日に伊方原発を再稼動する為に、 6月24日にMOX燃料を含む核燃料の装填作業を行う。 |
今まではカトリーヌ・ドヌーヴの初々しい姿とルグランの
音楽しかイメージしてこなかったこの曲だったのだが…
これからは、そうも行かなくなってしまった。