5/03/2009

3つの橋



【Billy Strayhorn / Chelsea Bridge】

この曲はストレイホーンが画家:ホイッスラーの
絵画をモチーフに作曲したと云われています。

ホイッスラーは印象派の画家から影響を受けたのが作風に現れ、
とても幻想的な印象が強く感じられるところも
ストレイホーンの曲想と接点が感じられます。

またホイッスラーは自分の作品に音楽用語引用した題名を
使うなどと云う所も何か両者の結びつきを感じざるをえないです。






【James Abbott McNeill Whistler/
 ノクターン:ブルー&ゴールド オールド・バターシーブリッジ】

印象派の画家たちと同世代であるが、
ホイッスラーの用いる色彩は地味で
「白、黒、グレイ」等のモノトーンに近い作品が多く、
光と色彩の効果を追い求めた印象派の作風とは一線を画しており、
内面描写よりも「色彩のハーモニーを表現」すること自体が
絵画の目的となっていると云われております。

この絵には4つの作品があり、その中の1点が
「安藤広重」の作品に非常に近いものがある点は、
ロンドン万国博覧会により日本の美術工芸品が紹介され、
彼の作風に強い影響を与えた点が伺えます。




【安藤(歌川)広重 /江戸名所百景 京橋竹がし】

広重最晩年の作品であり
彼の死の直前まで制作が続けられ、
目録と118枚の図絵から成る江戸末期の
名所図絵の集大成ともいえる内容です。

「近景と遠景の極端な切り取り」
「俯瞰、鳥瞰などを駆使した視点、
ズームアップ」を
積極的に取り入れる斬新な構図が多く
視覚的に非常に興味深いです。







3つの「橋」は時間・場所・作者の手法を超え
実は自分の足元に架けられていた。

現代日本のカウンター・カルチャー(主流になっている感は否めないが)は異国の人々にとっては、
とても斬新で新しい物に見えるのかも知れない。

古い物・新しい物が同時に存在し両者の良さを知る我々だが、
実は日々日常では見落としている部分が多いのでは?


今週はGW中と云う事で各地を旅する人も多いと思いますが、
作品を通じて「旅」するのは如何でしょうか?
無論、旅の行き着く先は「我が家」であるが……。


【参考資料】
[ノクターン:ブルー&ゴールド オールド・バターシーブリッジ]
テート・ギャラリー(ロンドン)所蔵
[江戸名所百景京橋竹がし] 中央区立京橋図書館所蔵