この邦題は劇中での”真夜中のカーボーイ”の
パロディ場面から名付けたのだろうか。
NYのアパートで繰り広げられる一夜の宴、
ジェンダーに悩む男たちによる享楽と混乱を描く密室劇である。
元々は当時のオフ・ブロ-ドウェイで話題になっていた舞台作品らしく、
出演俳優等もそのままに映画化した事で
演劇色の強い独特のセリフ回しや動きが特徴的だ。
内向かつ脱俗的な気質の持ち主たち、
皮肉めいた口調での会話、自己愛やエゴの衝突と・・・
暗雲立ちこめる空気の中、
口論しながらお互い熱くなっていく男たち。
俳優陣の立ち振る舞いはさすがに慣れたもので、
達者な挙措や動作はそれだけでも十分に愉しめてしまう。
・・・・・
また物語中盤でのテラスでのワン・シーン。
黒を基調としながらも赤いセロファン越しに
カメラが覗くという構図の場面がある。
画面いっぱいに拡がる真紅色の夜の帳《 とばり 》といった中、
意味深長にも佇む男たちの映像に合わせて
バカラックの”恋の面影”のテーマが使用されている。
陰影に富んだ管楽器の主旋律とソロとユニゾンの絶妙な配置。
微かに聴こえるオルガンの持続音にはどこかしら静謐な印象さえ受ける。
それらは荒れ始めたパーティー会場に束の間の、
静けさと浄化をもたらしているように聴こえるが ─ 。
『 真夜中のパーティー / The Boys in the Band(1970/米) 』 120分
監督 ウィリアム・フリードキン William Friedkin
原作・脚本 マート・クロウリー Mart Crowley
挿入曲
" 恋の面影 / The Look of Love( Instrumental version )"
バート・バカラック Burt Bacharach
参考資料
『 真夜中のパーティー / VHS 』 CBS FOX
『 世界の映画作家 』 キネマ旬報