6/28/2009

~Interlude Ⅳ~ 『真夜中のパーティー』『Windy Lady』『Lady In My Life』



映画『 真夜中のパーティー / The Boys in the Band 』



この邦題は劇中での”真夜中のカーボーイ”の
パロディ場面から名付けたのだろうか。
NYのアパートで繰り広げられる一夜の宴、
ジェンダーに悩む男たちによる享楽と混乱を描く密室劇である。

元々は当時のオフ・ブロ-ドウェイで話題になっていた舞台作品らしく、
出演俳優等もそのままに映画化した事で
演劇色の強い独特のセリフ回しや動きが特徴的だ。

内向かつ脱俗的な気質の持ち主たち、
皮肉めいた口調での会話、自己愛やエゴの衝突と・・・
暗雲立ちこめる空気の中、
口論しながらお互い熱くなっていく男たち。

俳優陣の立ち振る舞いはさすがに慣れたもので、
達者な挙措や動作はそれだけでも十分に愉しめてしまう。

・・・・・

また物語中盤でのテラスでのワン・シーン。
黒を基調としながらも赤いセロファン越しに
カメラが覗くという構図の場面がある。

画面いっぱいに拡がる真紅色の夜の帳《 とばり 》といった中、
意味深長にも佇む男たちの映像に合わせて
バカラックの”恋の面影”のテーマが使用されている。

陰影に富んだ管楽器の主旋律とソロとユニゾンの絶妙な配置。
微かに聴こえるオルガンの持続音にはどこかしら静謐な印象さえ受ける。

それらは荒れ始めたパーティー会場に束の間の、
静けさと浄化をもたらしているように聴こえるが ─ 。


『 真夜中のパーティー / The Boys in the Band(1970/米) 』 120分
監督 ウィリアム・フリードキン William Friedkin
原作・脚本 マート・クロウリー Mart Crowley
挿入曲 
" 恋の面影 / The Look of Love( Instrumental version )" 
    バート・バカラック Burt Bacharach

参考資料
『 真夜中のパーティー / VHS 』 CBS FOX
『 世界の映画作家 』 キネマ旬報


text and traced by【 gkz 】




" Windy Lady " ~サーカスタウンの女神達へ~

歌: 山下 達郎 アルバム「 CIRCUS TOWN 」より RCA Record (RVL-8004)



『 ちょっとでいい、都会(ここ)から離れたい。
疲れちゃったのかな?…私(涙) 』

彼女は一足早めの夏休みを取り一人リゾート地に来た。
現地の人々の笑顔、砂浜を素足で歩く感覚。
波の音、そして海を渡り吹きつける「風」。
忘れかけていた記憶が蘇る。

『 あの頃聴いた「達郎」はもっと太陽が眩しかった 』

"Windy Lady"
~力強い歌声は都会人の情感。
「風」が「都会」を吹き抜けるさまは清涼感溢れ、
クールな都市が浮かび上がる~

海風が彼女の身体を通り抜け日々の悩みを薄れさせてゆく。
そして心の中の「もやもやした物」を優しく運び去る頃━━
海風は夕凪へと変わっているだろう。


曲想をショート・ストーリー風(?)でつづった本レビュー。
男女雇用均等法によりそれまでの世代より「結婚・出産・仕事」が自由に行えるようになった世代で
「アラフォー【 AROUND 40 】」と呼ばれる40歳前後の女性を意味する彼女ら。
キャリアを積んで社会的・経済的地位を手中にした筈の彼女らは人生の岐路に立ち、
再度自分自身を見つめなおす。そんな彼女らが未だ若かった頃聴いた曲。
当時描いていた未来の青写真と現在を照らし合わすと...。

最後の結びはこの世代より下の世代にもご存知と思われる、
某鉄道会社のCMで使われた曲の歌詞を連想せざるえないかと??


text by 【 DJ 】




" Lady In my Life "  Michael Jackson


あっという間に売り切れた、43万枚のチケット。
やっとのことで手に入れた、その内の、2枚。

最初 後楽園球場と横浜スタジアムに姿を現した彼は、随分とか細く見えた。
しかし そんな印象は、想像を上回るスケールのステージングと、緻密で
スピード感溢れるパフォーマンスによって直ぐに雲散霧消し、逆に
“アメリカ最高峰のエンターテイメント”を力強く見せ付けられる思いがした事を覚えている。

初来日ツアーの正式名称は《ジャパン・ツアー87'》。
当時29歳の青年だった彼は 一月半をかけ14公演を行い、
様々な話題と鮮烈な印象を残し、日本を後にした。

◇    ◇    ◇    ◇    ◇

…彼の功績やその私生活についての評価は止めておこう。
そんなことは、誰か他の人に任せておけばいい。

ただ、
彼は全ての件について無罪判決を受け、
生前から 子供達の為に死後の遺産として
数百もの未発表曲を遺した“父”であった、
ということだけは記しておこうと思う。


今回の一曲は、彼の全作品の中で一番好きな曲であり、
ライブでは終に聴けなかった曲。。。

  Lady In My Life  Michael Jackson  


アルバム中 唯一シングルカットされなかったこの曲だが、それでも
youtubeのコメント欄には分単位で全世界からの書き込みが増え続けている。
彼らと共に、別れを告げよう。


 RIP,MJ.




  text by 【 電気羊 】