6/27/2010

映画 『 夜の終りに / Niewinni Czarodzieje 』



” Niewinni Czarodzieje ( Innocent Sorcerers ) 1960 ”

【 film by Andrzej Wajda 】

映画『夜の終りに』──監督アンジェイ・ワイダ、1960年ポーランド。
第二次大戦後のワルシャワを舞台に若者世代の倦怠を描き出す。
A.ポランスキーや作曲家 K.コメダらも出演。原題は無邪気な魔術師たち。

スポーツ医師とミュージシャンの二つの顔を持つ主人公の男。
ジャズを愛好し流行の服を身に纏ってはスクーターを乗り回す…そんな
気ままな独身暮らしの毎日を過ごしている。

ある晩ナイトクラブで魅力的な女性と出会い、芝居を打ってまんまと
彼女を部屋に誘う事に成功するが・・・

素性を隠したまま仕掛けられる心理ゲームと知的な会話の攻防──
夜を徹して行われる男女の駆け引き。ゲームが進むにつれ、いつしか
男は彼女に翻弄されていくのであった…

・・・・・・・・・・・・

【 Krzysztof Komeda's jazz band 】

この作品で特筆すべきは、やはり K.コメダによるテーマ音楽だろう。
以前にも取り上げたポランスキー作品 での曲想とは少し趣を異にするが、
ここでは当時、世界的な潮流であった手法で以てあえてヨーロッパの
古典音楽と現代的価値観との着地点を目指したのだろう。

夜の雰囲気へと瞬時にいざなうオープニング曲に始まり、
全編を通じてノワールなジャズのサウンドトラックが流れる。
都会の夜──真夜中の部屋──伸びゆく孤独の影・・・
といったメランコリックな情感がなんともたまらない感じだ。


「まづもろともに、かがやく宇宙の微塵となりて、無方の空にちらばるう」

・・・と僕はふと、そんな一文を思い抱いたりもした…。

by gkz

映画 『 夜の終りに / Niewinni Czarodzieje 』 
(英)Innocent Sorcerers  
(仏)Les Innocents Charmeurs
監督 アンジェイ・ワイダ Andrzej Wajda
音楽 クシシュトフ・コメダ Krzysztof Komeda
1960年 ポーランド 87分