8/29/2010

~Interlude ~埋もれていった楽器達の果てに



人類が古くから楽器として利用していた【動物の角】。
軽くて丈夫で中が空洞となっており、先端を開け息を吹き込めば直に音が出る。
また角の根元は大きく広がっている為、音が増幅され大きな音が出るというメリットが得られる。
このような音が出る道具は狩りにより生活の糧を得ていた【狩猟民族】の間で生活において、
狩りにおいて【合図】として用いられた。

その昔フリューゲルホルンは「翼の角笛」と呼ばれ狩りを行う際、両翼から音を出し獲物を
追い詰める合図の狩りの道具であった。中には「指孔」(指で直接押さえる孔)を持ち様々な
合図を持つ道具も出て来た。そして狩猟の道具は【軍隊の為の道具、戦の為の道具】へと変化してゆく。


古代エジプト、古代ローマの時代には原始的な【金管楽器】が登場してくる。
中が空洞であった動物の角は管楽器としてとても都合が良い素材であったが、動物の生態や成長によって
角の形態が異なる点、そして真直ぐな形を作る事が非常に困難であった。それらを補う為、金属や木材を
付け足す方法が用いられるが、木材は中身を刳り貫く作業や、野外での利用が多い為湿度によって影響を
受けやすい点、一方金属の成型加工の技術の進歩などにより次第に金管楽器の発展へと進化していく。

しかし楽器と言ってもやはり未だに、戦の合図や儀式の範疇である。
特に十字軍遠征の時代にイスラム勢力軍(オスマン・トルコ軍)が「金管楽器と打楽器」鳴らしながら
攻めに来たのは有名であろう。他にも第一次世界大戦時イギリス陸軍の最前列に「バグパイプ」を
装備した部隊が敵の部隊に演奏しながら突き進んでいく…など。




19世紀に入り軍楽隊が結成されと、今までの木管楽器は木製だったものが次第に「金属」で
製造されていくようになる。現在では低音金属楽器は「チューバ」などが挙げられるが、当初
この様な楽器が未だ開発されていなかった為低音パートを担っていたいたのは以外にも
「コントラ・ファゴット」であった。


しかし、木製のファゴットの難点として「湿度の問題、行進しながら歩行演奏をするという
楽器の構造の問題」を補う為に開発されたのが、【リードコントラバス】である。
素材は金属製で、コントラ・ファゴットの操作性(遠い部分にある音孔をキーパッドによる遠隔操作出来る)
クリアしたものだ。更に歩行演奏の軽減として金属の厚みの問題、金属製マウスピースを付けたりしたものが
【オフィクレイド(上段写真)】へと進化したもの。
他にもダブルリードを持つ【サリュソフォン(下段写真)】なども開発されてきた。
番外編ではフルメタルのオーボエ、クラリネット、バスクラ(バスクラリネット)などもあったようです。


「リードコントラバス」「オフィククレイド」「サリュソフォン」の発展・進化し現在存在するのが「サクソフォン」である。


リコーダーなみの簡単な操作性、木管の柔らかさを持ち耐久性ある金属製のボデイ、
各時代の難点をクリアし600個以上のパーツから構成され複雑なメカニズム持つこの楽器の背後には
『時代と共に消え忘れ去られ、埋もれていった楽器』の発展の上に成り立っていた。




最後に「フランス生まれでアメリカ育ち」の「サクソフォン」。
フランス、アメリカを筆頭にイギリス、ベルギー、スペインを中心に広く使用されたが、ドイツ、
オーストリアそしてイタリアでは開発当初は使用されていなかった。ヨーロッパという地理的な
視点から考えても、この楽器が使用・普及されてもおかしくない筈だが?何故??


推測ではあるが「サクソフォン」が使用・普及されていない地域の1つの特色として、
「カトリック教」が普及されている地域であったと同時に「フリー・メイソン」の活動が
禁止されていた地域でもあったのは偶然であろうか?