Interplay Ⅶ 無響室シリーズ───
4度目のエントリーということで、さすがにもういいだろ…
と言う声も聞こえてきそうですが・・・今回の拙文にて
終りにしたいと思います。もうしばらくお付き合いください。
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《 for maria anechoic room version 》 |
【 In silence 】
音が止まった───
薄暗い室内に静寂が戻る。再び無音の無響室・・・心なしか自分の心臓の音、
心拍の刻みと流れる血流の音が聞こえてくるようだった。ひとけの無い、環境音すら
聞こえない外の世界から閉ざされたこの室内。自分の鼓動だけがそこには残っていた。
しばらくのあいだ係りの人を待つ。先程、雪が積もったときの静けさに似ている
と思った。今こうして佇んでいると、あの静まりかえった沈黙の宇宙 ── キューブリック
監督の映画 『 2001年宇宙の旅 / 2001 : A Space Odyssey 』 が頭をよぎる。
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大気のある地球上においては無音の状況、完全に沈黙する状態と言えば生命の終りを
意味するだろうか。それは誰にでも待ち受けている逃れられない運命ではあるが ……
人間はいずれそのうち物音ひとつしなくなる。いずれそうなる事は誰もが知っている。
音の断絶した世界───閉じられた───永遠に続く暗闇───無 。
自分は少しおかしいかも知れない。無音の世界に身を置いたせいで自己の終わり、
臨死体験のような妄想じみた思考にいつのまにか囚われていたと思う。
【 Absence makes the heart grow founder 】
オペラシティの建物を出ると、そこにはいつもの、高層ビル群を背にした
西新宿の雑多な街並みがあった。不在であるが故に愛おしくなる───
誰の箴言だか分からないが、なるほどと思う。
喧騒が耳に飛び込んでくる───首都高を走る車の音、バスの振動、自転車の音、
通気孔から洩れる空調の音、絶え間なく流れる店の音楽、つんざくような電子音、音、音。
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それらは無秩序で、ときに頭を悩ますほど無軌道であるのだけども、
そのときの自分にはこれら日常の音が生活感に溢れる愛すべき音に聞こえた。
そして、人の話す声・・・低い声や高い声、子供の声や嬌声、しわがれた声から
なまりのある声、外国語にいたるまで、聞こえてくる人の世の賑やかさにほっとした。
【 Inner city blues 】
それから西新宿から新宿の西口に向って歩く途中、ずっと、
ある曲とある曲がリピートを繰り返して頭の中を流れていた。
─── You know we've got to find a way.
To bring some lovin' here today ───
マーヴィン・ゲイの『 ホワッツ・ゴーイン・オン 』───
あのイントロに被さるように会話する声のせいだろう。
それと『 インナー・シティ・ブルース 』 ・・・アルバム最後の
リフレインする、例のフレーズの良さがようやく解った気がした。
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text and photo by gkz
※ 関連エントリー~ Interplay Ⅶ ~無響室
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